台湾の早稲田といわれる台北の淡江大学、その剣道場の工事依頼が来た。

海外の道場を作るとき、気をつけなければいけないことは、材木の目利きだ。日本、木材を上手に使い分けているが、海外では、木表木裏の区別がない。そこで加工するときに、図を書いて丁寧に説明するのであるが、今回も出来上がった製品は、半分が逆の加工だった。つまり、何も注意してくれなかったということ。こんなことがよくある。

さらに驚くことに、大工でありながら、丸のこ、ノミ、鉋といった工具を持っていないことがある。現場で加工の仕方の説明すると、何処かへ行ってしまう。しばらくして帰って来て、その工具を持ってなかったから、買ってきたのだという。初めての工具で、どれほどの仕事ができるか、私は寒気を感じるほどだった。

覚悟を決めて、つきっきりで作業に立ち会うことにした。もとより、道場という代物はアバウトな作りである。大工に人並みの腕があって、私の言うことを素直に聞く度量があれば、ちゃんとした床が出来上がることになっている。幸いにも、今回の大工の人柄は従順で、どんな要求も飲んでくれたから、仕事は順調に進んだ。

事務長以下、剣道部関係者の至れり尽くせりの気遣いにも助けられて、台湾一の立派な道場が出来上がった。

美人の学長さんに感謝されることは、気分のいいことだと思った。